CATEGORY:アクセサリ

2012年03月19日

ブレゲ No.160

皆様は「ブレゲ No.160」、通称・マリー・アントワネットと称される時計をご存知でしょうか?


ブレゲ No.160


その名の通り、かの18世紀のフランス王妃マリー・アントワネットが当時パリで名声を誇った天才時計師アブラアン・ルイ・ブレゲに「予算も時間もいくらかかってもかまわない。世界で最も美しい時計をつくってほしい」とオーダーしたものなのだそうです。いや~そんな豪気なオーダーの仕方、してみたいですよね(´Д`)


今回の記事はそんな「ブレゲ No.160」(以下、No.160)に関するお話をさせていただきたいと思います。お2人のお客様からそれぞれお話をお聞かせいただいたのですが、まずはひとつめのお話を・・・


-マリー・アントワネットと呼ばれている伝説の時計があるのですが知っていますか?ー


その時計はかの王妃マリー・アントワネットがブレゲにオーダーしたという時計なのですが、ブレゲの顧客リストというのはそうそうたるもので、時の権力者や王侯貴族などそれはそれはすごいものであったとか。


当時のブレゲの技術の粋を集めて作られたその時計は懐中時計だったのだそうですが、懐中時計としては珍しく、「音で時刻を知らせる機能」が搭載されていたのだそうです。

王妃は市民革命の結果、牢獄へ幽閉されることとなりますが、獄中からも主人に時を知らせる音色が聞こえてくる・・・そんな逸話が残っているのだそうです。


そんな歴史的事件にかかわるような逸話が残っている時計を時計好きが放っておくはずがないですよね。世界中のコレクターが「もう一度マリー・アントワネットの復刻を」というラブコールをブレゲに送ってやまなかったのだそうです。


しかしブレゲは頑として復刻はせず、それがまたブランドの名声と神秘性を高めていく・・・。そう思うとそれもまたブレゲの戦略だったのかもしれませんね。


件の時計は王妃の処刑とともに行方不明になるのですが・・・なんとそれが5年ほど前に本物が出てきたのだとか。・・・誰が持っていたと思いますか?


・・・どうも中東の石油王が所有していたらしく、現在はブレゲがその時計を買い戻し、資料としてブランドが保管しているのだそうです。



・・・僕がお客様に伺ったお話はこんな内容でした。いったい誰がマリー・アントワネットの時計を持ち出したのか!?いささか不謹慎ですが、不思議とロマンを感じてしまいます。


実はこのお話、後日に別のお客様から「世界ふしぎ発見」でやってたよ~。ともうちょっとディティールの違うお話を伺いました。その内容は以下の通りです。


-時計はマリー・アントワネット本人がブレゲにオーダーしたものではない-

1783年マリー・アントワネットと近い1人の将校より発注されたのだそうです。この将校も何者かわかっておらず、王妃の恋人であったという説もあるのだそう。


-No.160の完成を待たずして1789年にマリー・アントワネットは処刑されてしまう-


フランス革命の勃発とともに職人ブレゲもスイスに難を逃れたために製作は中断。そのブレゲもまた完成の4年前にこの世を去ったのだそうです。結局、後継者により1827年に44年の歳月をかけ完成したとのこと。


となると獄中のマリー・アントワネットが持っていた時計は?という疑問が真っ先に浮かぶのですが、どうも「ブレゲ No.179」という獄中からブレゲにオーダーした時計だったようです。


その時計には”ミニッツリピーター”という音で時刻を知らせてくれる機能がついたシンプルなものだったのだとか。ちなみにこの「ブレゲ No.179」は王妃の処刑の直前に義弟アルトワ伯爵(シャルル10世)に贈られたそうです。


・・・ブレゲは生前、ひとつとして同じ時計をつくらなかったのだそうですが、この「No.179」だけはもう自分自身のためにもうひとつ製作したのだとか・・・。


- No.160は完成後しばらくブレゲ家にありその後コレクターの手を渡りエルサレムのイスラム美術館へ-


結局、かの時計を完成させたのはブレゲの子孫であったそうです。王妃への忠誠の証として安全な場所に保管されていたのだそう。


その後、何人かのコレクターの手を経て、前世紀にはブレゲ・コレクターとして知られたデヴィッド・サロモンズ卿が所有。卿の死後、他のコレクションとともにエルサレムのL.A.メイヤー記念イスラム美術館に寄贈された。


しかし、1983年4月16日にこの「 No.160」を筆頭とする最も貴重なブレゲ時計の数々が何者かによって美術館から盗み出され、行方不明となる。



いやはや・・・なんと数奇な運命に翻弄される時計なのでしょうか。結局、一時行方不明になった「 No.160」はさる英国人のコレクションの中に発見されたのだそうです。やはり何らかの爵位をもっているような身分のある方だったのでしょうか。最初に聞いた石油王とはまた違いますが、なんだかうなづける展開ですね。


どのような経緯でこの人物が所有するにいたったのか、それがはたして本物の「 No.160」であるのか、ますます謎が謎を呼ぶ展開に世は騒然となったそうです。ちなみにブレゲ社により、本物であることが確かめられたのだそう。


また、なんとブレゲ社は、そんな人類の遺産にも等しい傑作時計が行方不明になっていることを残念に思い、その復刻プロジェクトを2005年から密かに進めていたのだそうです。


いよいよ完成間近という2007年の終わりにオリジナルと思われる盗難品が見つかるというこれまた数奇な展開だったのですが、ブレゲ社は実物を一度も詳細に調べる機会はなく、過去のあらゆる資料に基づいて独力で完全な再現を試みたのだそうです。


2008年4月にその完成品が記者会見で披露されたのだそうですが、知らなかった・・・(´Д`;)この数年の出来事だったのですね・・・。ちなみに復刻された「 No.160」こと「No.1160」の仕様はこんな感じだそうです


・地球の重力による姿勢差を無くすトゥールビヨン(※)

・スプリットセコンド(ストップウオッチ)

・ゼンマイの巻き量を表示するパワーリザーブ

・自動巻き

・パワーリザーブ(ゼンマイ残留計)

・軸受けの石はサファイヤ

・時刻を音で知らせるミニッツリピーター

・均時差表示

・永久カレンダー(うるう年の調整機能アリ)

・ペルペチュエル(ブレゲ独自の自動巻き機構)

・イクエーション(均時差表示(日時計との時差))

・独立作動センター秒針(クロノグラフの原型)

・ジャンピングアワー

・パラシュート(耐震装置)

・バイメタル温度計

※トゥールビヨンについてはオリジナルには搭載されていない(発注当時、ブレゲがまだ発明していないため)



え~・・・なんというか宇宙ですね。知らないような機能がいっぱいです・・・<●><●>


自動巻きなのにゼンマイ残留計がついてるって・・・。しかも永久カレンダーについては100年に一度しか回転しない歯車とかついてるらしいです(´Д`;;)


だいぶもったいぶりましたが、現代によみがえった「 No.160」こと「No.1160」はコチラ


ブレゲ No.160
う・・・美しい・・・



時計のこととか詳しくないちよ父にしてもこの時計は文句なしに美しいことがわかります。これはすごいですね・・・。すさまじい多機能に加えて本体も1783年の注文の際に指定があったように、金属部品の多くがゴールドで作られているのだそう。


「No.1160」は現在のところ1点のみが完成したばかりで、これを展示したり、市販する予定はないのだそうです。お値段にしてウン億円とか・・・。もうため息しか出ません・・・(´Д`;)


いつもと比べて随分と蘊蓄っぽい記事になってしまいましたが、このお話を聞いて僕は「時計の完成を見ることができなかったブレゲは無念ではなかったろうか・・・」という思いが頭をめぐりました。自身の作品の完成が見れなかったというのはもしも自分だったらさびしいような気がしたのです。


しかし、そんな僕のつぶやきにお客様は「そんなことはなかったんじゃないかな。きっとブレゲ自身は”いま素晴らしい作品が出来上がっていっている”という充実感と楽しみを持って他界したんじゃないかと思う。何かに一生懸命打ち込んでいるときはとても楽しく充実しているものだが、それが終った時には寂しさと詫びしさしか残らない。」とお話しくださいました。


なるほど・・・確かに完成した作品を前に感じる「終ってしまった」ことへのわびしさ寂しさは僕も経験があります。日常的に言うと長年愛読してきた漫画が最終回を迎えてそれを読み終えたときに感じるそれに似ている・・・とでもいうのでしょうか。


例えがあまりに俗っぽいというかカッコよくありませんでしたが、お客様の一言がなんだか心にしみたちよ父でした<●><●>


ぬはーん



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Posted by ちよ父  at 23:19 │Comments(3)アクセサリ

COMMENT
わああ
ため息しかでませんね・・・
時計大好きです

1日中ずっと見続けてしまいそうです

うわああああ!!!
Posted by cheep at 2012年03月20日 10:30
本当に美しい…
流石はブレゲ、庶民には手が出ませんね(笑)

スケルトン仕様の時計は何かしら惹かれる物がありますよね♪

シルバーのウォッチブレスの為の時計を探し続けてますが、これだ!って物は中々見つかりませんね~
Posted by ラックル at 2012年03月20日 21:28
>cheepさん

この時計、本当にスゴいですよね(´Д`;)

この美しさに加えて恐るべき性能・・・。世界中のマニアが求めてやまなかった気持がわかります。

>ラックルさん

本当にそうですよね(汗)ウン億円っていったい・・・(汗)

ウォッチブレスに合わせる時計、確かに難しそうですね~(´Д`;)アンティークのチュードル(デカバラエンブレム)とか雰囲気に合いそうですが・・・。

ウォッチブレスとの相性はわかりませんが、よくスタンリー・ゲスのウォッチケースに合わせてあるブローバの「スペースビュー」とかユニークな感じで好きです(´Д`)


・・・あんまし関係ないですね。すみませんっ(汗)
Posted by ちよ父ちよ父 at 2012年03月21日 00:42
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